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寄稿~ソメイヨシノの開花予想~

寄稿~ソメイヨシノの開花予想~

副理事長 猪野年朗

我が家には 猫の額ほどの小さな庭がある。小さな庭には所狭しと草花が各々の場所を占め、四季折りおりにそれぞれ花を咲かせ季節を彩ってくれる。庭の移ろいを気ままに庭日誌として記録している。小さな庭には2種類のギボウシがある。オオバギボウシとヒメギボウシだ。

 

 この2種類は開花時期にタイムラグがある。ヒメギボウシが遅く咲くのはつねづね感じてきたが、どれだけのタイムラグがあるものかと気になって庭日誌を開いて見た。

▲オオバギボウシ、ヒメギボウシ観察表
▲オオバギボウシ、ヒメギボウシ観察表
▲ソメイヨシノ開花状況
▲ソメイヨシノ開花状況

 この3年間を見てみると、各々のギボウシの開花日は、一週間~10日ほどの差がある。

 一方、オオバギボウシが開花してヒメギボウシが開花するまでには一ヶ月前後(31~34日)の時間差があるのに、そのタイムラグの差は3日程度である。どう考えたらよいだろうか?

 似かよった生育環境にあると、意外と違わないかも知れない。

  「桜祭りの看板に誘われて行ってみたけど桜は全然咲いてなかった」なんて話を聞いた事はありませんか? せっかく花見に出かけていって桜が咲いていないでは寂しいですよね。

 桜祭りの開催日はどのようにして決めるのだろうか? 桜は暦をみて咲いてくれるわけではない。桜祭りの開催は少なくても開花の1ヶ月以上前には決定しなくてはならないであろう。ソメイヨシノの開花予想の算定式として「積算温度600度法則」もあるが、これでは1ケ月以上早いタイミングで開花を予測する事は難しい。

 オオバギボウシのように、目的の植物(この場合はヒメギボウシ)に先んじて開花し、目的の植物の開花の予測が出来るとなれば都合が良い。

 ソメイヨシノの場合でも、同じような環境下に早咲きの寒桜やカワヅザクラを植栽し、ソメイヨシノの開花時期を知る事は出来ないだろうか?

 その昔、静岡のカワヅザクラと福島県三春の滝桜とに相関はないだろうかと調べてみた事がある。結果は残念ながら、生育地が遠く離れている事などから相関を見ることは出来なかった。

 もし、環境や距離の近いところで、先駆的に咲いてくれる植物から目的の植物の開花予測日を知る事が出来るとなれば、花のない桜祭りから解放されるのでないだろうか?!

 桜の季節が近づくと、ふとそんなことを考える今日この頃である。